みかん先生はくじけません

教育革命家。未来学園HOPE学園長。しあわせ先生塾主宰。元小学校教師。平本式現場変革リーダー養成サブ講師。DoMaNNaKaマスタートレーナー。日本プロカウンセリング協会二級心理カウンセラー資格。教育についてのいろいろを綴ります。

子どものケンカ対処法~こんなときは、敢えて寄り添わない~

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自習の後、競い合うように私のところへやって来た、NくんとSくん。

 

「先生、Sくんが何度言っても集中して問題をやらないんですよ。

 ちゃんとやりなよって言ったら、うるせぇ!首突っ込んでくるな!って。」

 

「Nくんだって、ボンドの蓋をいじって遊んでました。

 それなのに偉そうに言ってきたんです。」

 

競い合うように得意げに報告してきました。

 

 

まずは、二人の表情を観察します。

 

大して2人自身の感情は動いていない。

(悔しい、悲しいなどの困り感が見られない)

 

そして、主張している内容を客観的に頭の中で分析します。

 

相手がいかにひどいかだけをひたすら主張しているだけ。

相手を先生に怒ってもらって、自分の正当性を主張したいだけ。

 

彼らがこのまま大人になったらどうなるだろうと想像します。

 

誰かを下げることで、自分の地位を確立する。

自らで解決する努力をせず、不満を誰かにぶつけることで何とかしようとする。

 

私がどう関われば、彼らの将来に役立つだろう?

 

 

最後に、自分の心に聞いてみます。

 

あーーー マジしょーもない。くだらない。( 一一)

 

 

そう思ったら…

 

こういうときは、私は、敢えて寄り添わない。

 

「それで?」「他には?」「それで?」

メモを取りながら淡々と無表情で冷たく聞いていきます。

 

「他には?」

「いや…もうありません。」

「いいえ。それだけ訴えてくるんだから他にもあるはずです。他には?」

「いえ…。これだけです。」

 

「分かりました。聞いた情報を整理します。」

淡々と冷たく、彼らが主張した内容をメモを見ながら読み上げます。

 

 

先生が他のクラスで授業をしていた、算数の自習時間。

課題は教科書の問題と計算ドリルの問題を、協力して進めることでした。

 

Sくんの手が進んでいないのが気になったNくんは、「ちゃんとやれよ」と注意しました。

「やってるよ」とSくんが答えました。

Nくんがボンドの蓋をいじりだしたのを、今度はSくんが見つけました。

「ボンドの蓋さわるなよ」

「うるせぇよ」とNくんは答えました。

ちなみに、ボンドは算数の勉強とは関係ないけれども、勉強に飽きたから出したで合っていますね?

 

「鼻歌うたってんじゃねぇよ」

「うるせぇな、首突っ込んでくんなよ」

 

このようなやりとりをこの後も何度も繰り返し、

みんなに「静かにしなよ」と注意されても止めず、

結果、2人とも算数の問題はちっとも進まず、自習が終わりました。

それでもまだ文句が言い足りないので、先生にぶつけに来ました。

 

これで合っていますか?

 

 

黙ってうつむく2人。

 

 

「それで、先生にどうしてほしいですか?」

「いえ…」

「先生が怒ってあげてもいいですが、それであなたたちの気が晴れますか?」

「……」

「『自分は悪くない!お前の方が悪いんだ!』これ、いつまで言い続けますか?」

「それで、何かいいことがありますか?」

「いえ…」

 

「じゃあ、先生が思ったことをそのまま言わせてもらってもいいですか?」

「はい…」

 

ここで、声のトーンを変えます。

感情をのせて。思いを込めて。

 

 

くっっだらない!!しょーもない!!

人の注意する暇があったら、まず自分のことをちゃんとしなさい!

みんなの自習の邪魔をするな!

人の悪いところばかりを見つけてぶつけても、相手はよくならない!

相手より自分の方が正しいことだけ主張しても、自分の価値は上がらない!

 

 

言い切ったら、声のトーンを戻します。

冷静に淡々と。

 

「先生の言いたいことは以上です。2人から何かあったらどうぞ。」

2人はぺこりと頭を下げました。

「すみませんでした…」

「ぼくも…。すみませんでした」

 

「何に対してすみませんですか?」

「ちゃんとやってないのはお互い様なのに、お互いむきになっちゃいました。」

「やられた分やり返してやろうって、嫌な言い方をたくさんしちゃいました。」

 

2人の様子にとりあえずホッとします。

頭にポンと手をのせると、2人は顔を上げました。

 

「分かってくれて、よかった。

 お互い、自分が悪かったなって思うところを謝ろうか。」

 

にこっと笑ってそう言うと、2人がこくんとうなずきました。

 

 

算数が苦手なSくんとNくん。

問題が解けないイライラもあったのでしょう。

 

「昼休みは、先生と一緒に問題の続きをやりますよ。」

少しおどけてこう言うと、2人はにっと笑って元気に返事をしてくれました。

 

 

昼休み、一緒に自習で進まなかった問題を進めました。

 

「あー。これが分かんなくってイライラしたんだよなー」

「わかるー!!」

「あはは。似たもの同士じゃん。次は同盟組んで協力してがんばんな!」

「たしかにー!!」

 

問題も進んで、とっても楽しい時間になりましたとさ。

 

 

そう。

先生は、あえて寄り添わないこともあるのです。