そのままで大丈夫。がんばれなくても大丈夫。~人の心は多面体です~
子どもたちに、よく話していた話に、「多面体の話」があります。
「こいつ、みかん先生の前だと態度変わるよなー」
そう言われて、バツが悪そうに顔を赤くする、やんちゃっ子Sくん。
「なんだよ!そんなことねぇよ!!」
こんなときに話すのが、多面体の話。
「Yくんが何度言っても、協力してくれないんです!!」
しっかり者の女の子にそう告げ口されて、
「うるさいな!今やる気が出ないんだってば!!」
そうふてくされるYくん。
こんなときにも話すのが、多面体の話。
「みんなの心は、多面体みたいになっているんだよ。」
なに??多面体??
「そう。こんな風に。」
実際に、多面体を子どもたちに見せながら話します。
どういうことですか??
「その時やその場に応じて見せる、いろんな面をもっているってこと。
例えば、お家で過ごす顔と、学校の顔はちがうって人、多いんじゃないかな?」
あーー!!確かに!!
ってか、一緒だったらやばくない??
え、オレは一緒だけどなー。
「そうそう!その変わり方も人それぞれちがっていいんだよね!
じゃあ、昨日は元気いっぱいテンション高く過ごしたけど、今日はだめ。やる気がしない!ってことは??」
あるある!!分かる!!!
と頷く子と、首をかしげる子。
「その差も、ひとそれぞれで大丈夫。変化の度合いも人それぞれです。」
「でもね。人は少なからず、その時々によって、見せる顔、心の状態が変わるんです。
今日は元気いっぱい!!みんなに優しくできちゃう気分!のときもある。
今日はムリ。いつもは何でもないことも、なんだかつらく感じるときもある。」
クルクルっと多面体を動かしながら、話します。
「お家ではリラックスモード。ダラダラ過ごすけど、学校ではテキパキ動けちゃう!人もいる。」
うんうん。
頷きながら聞いてくれる子どもたち。
「それは、ちっともおかしいことじゃないんだよ。
大事なのはね、それをコントロールできている自分であること。
自分が今どの面をつかっているのか、自分でわかっていること。」
教室がしーんとなって…
子どもたちの表情が、真剣になります。
「でもね…。そのコントロールができなくなっちゃうときって、あるんだよね。
どんなときだと思う??」
悲しいときとか?
怒ってるとき??
ムカついてるとき!!
「そうそう!!
そんな風に、いろんなことが積み重なって…心にに栄養が足りてないときです。
そうするとね、多面体をクルっと動かしたいんだけど、思うように動いてくれないんだ。」
分かる気がする…。
ぽつっとだれかがつぶやきました。
「そんなとき、どうしたらまたクルクルっと動かせるようになると思う?」
楽しいことをするとか…
とりあえず寝る!
友達に話をきいてもらう?
ゲームやりまくる!!
「いいね、いいね!!
そうやって自分で工夫して、元気になることもできるよね!!」
「じゃあ、クラスでできることはあるかな?」
その人が元気になることを言う!
大丈夫だよー!って伝える!
元気な人が代わりにがんばればいいんだよ。
「そうだね。そうできたら最高だ!」
「いろんな面をもっていていい。
そのすべてが自分自身です。
でも、自分自身で、”いいな”と思っている面をたくさん出せたら気持ちがいいよね。
そのために、自分自身でも工夫するといいし、クラスのみんながそうやって接してくれたら、元気がないときは、最高にうれしいね!」
そのままで大丈夫。
がんばれなくても大丈夫。
ひとりひとりを丸ごと承認して、元気になるために助け合うクラスをつくっていく。
多面体のお話でした。