みかん先生はくじけません

教育革命家。未来学園HOPE学園長。しあわせ先生塾主宰。元小学校教師。平本式現場変革リーダー養成サブ講師。DoMaNNaKaマスタートレーナー。日本プロカウンセリング協会二級心理カウンセラー資格。教育についてのいろいろを綴ります。

子どもたちのトラブル解決法~どこでかけ違いが起こったかを発見せよ!~

 

大縄チャレンジで最高記録を目指すべく、みんなで声をかけ合って、元気に校庭に飛び出していった子どもたち。

(大縄の八の字跳びをして、2分間でどれだけ回数を跳べるかを競うチャレンジです)

 

ああ…。こういうのに楽しみながら取り組めるようになったんだなぁ…( *´艸`)

 

なんて。

しみじみ喜びにひたっていたのもつかの間。

 

学級運営は、そんな甘いもんじゃないのでした。笑

 

予鈴が鳴って、クラスに帰ってきた子どもたちは、何やらとても不満そう。

明らかに、どんよりとした空気が漂っています。

 

 

「どうしたの?なにかあった?」

聞いてみると、子どもたちは口々に答えました。

 

 

ぜんっぜんだめでした。

なんかみんなやる気ないんですよ!

 

ふてくされたようにKくんとYくんが言いました。

 

はぁ?やる気ないんじゃないでしょ!

苦手な子を仲間はずれにしたのはそっちじゃん!

 

反論するKさんとMさん。

 

は!?

仲間外れになんかしてないし!

そっちが勝手に抜けただけじゃん!!

まじふざけんなよ!

 

こういったケンカは、小学校では日常茶飯事です。

大縄チャレンジだとか、合唱コンクールだとか、バスケ大会だとか…

うまくいけば、クラスの絆を深め友情を育むステキなイベントですが、

うまくいかなければケンカの火種以外のなにものでもない。

うまくいかなかったときに、どう対応するかがとても大切だなぁと思います。

 

この日のケンカは、みるみるヒートアップしていきました。

 

 

勝手に抜けたんじゃないじゃん!

そっちが出てけみたいに言ったから…

 

うそつくんじゃねぇよ!

なんでいつもこっちが悪くなるんだよ!

お前、頭おかしいんだよ!!!

 

 

あー。これはだめだ。

許してはいけない言葉を、見逃してはいけない。

 

すーっと深く息を吸って、一喝。

 

 

「訂正しなさい!意見をぶつけるのと悪口は違う!!

 このクラスに頭がおかしい人なんか一人もいない!!今すぐ謝れ!」

 

クラスがしーんとなって、Kくんがうつむきます。

 

今度は低い声で静かに。

 

「今の言葉は先生は許さない。頭がおかしい人なんかいない。今すぐ訂正してください。」

 

うつむくKくんをみんなが見守ります。

 

 

頭がおかしいって言って、ごめんなさい…

 

すると、Mさんが泣きながらこう返しました。

 

ううん。こっちもひどい言い方してごめんね…

 

Kくんの目から、ボロボロ涙がこぼれました。

 

 

「意見が食い違うことや、うまくいかないことなんか、いーっぱいあるんだよ。

 それは悪いことじゃない。失敗したら、いつだってそこから学べばいい。

 でも、そこで相手を否定してしまったら、前になんて進めない。

 きちんと話し合いませんか?先生は、全員の話をちゃんと聞くよ。」

 

Kくんが泣きながらこっくりとうなずきました。

 

 

 

ここからは、クラス全員を巻き込んで、徹底して平本式現場検証を行います。

 

話は食い違っているけれど、どちらもウソをついているわけではないんです。

だって、彼らがやる気いっぱいに外に飛び出して行ったのは、間違いありません。

 

どこですれ違ったのか。

どこでかけ違ったのかを、一緒に丁寧に探していきます。

 

「まず最初に出て行ったのは何人くらいだった?」

「その時大縄を回していたのは誰?」

「そのときのみんなの様子は?」

「後から加わったのは何人?」

「そのとき、どんな声が起こった?」

「それで、誰が何て言ったの?どんな言い方だった?」

「そのとき思っていたことは?」

「それは、どう聞こえたの?」

 

黒板に書きだしながら、丁寧に丁寧に聞きとっていきました。

そうすれば、必ず見えてくる。

 

 

つまりは、こういうことでした。

 

やる気いっぱいで外に飛び出していった子どもたち。

出ていった人数は、15名ほど。

最初はとってもうまくいった。

でも、途中でさらに10名ほど増えた。

なのに、大縄を一本しかもっていなかった。(なぜだ…笑)

 

跳ぶまでの待ち時間が長いため、集中力が続かず、なかなかいい記録が出なくなった。

ちょっと雰囲気が悪くなり始める。

しかも、待ち時間が長いために、一部の男子がバスケットボールでドリブルしながら待つようになる。

(バスケ大会も近いため、本人たちにあまり悪気はない。一石二鳥的な感覚。)

 

そのとき縄を回していたのが、KくんとYくん。

この男子たちにイライラし始める。

 

まじめにやれよ!

やる気があるやつでやらないと記録が出ねぇだろ!!

 

かけ違いは、まさにここで起こった。

運動が苦手な大人しいTさんとYさんが、自分に言われたと思ってショックを受けたのだ。

 

立ち止まってうつむいてしまったTさんとYさんに、KさんとMさんが声をかけた。

 

大丈夫だよ。一緒にやろう。

 

その辺りの数名が集まって声をかけてあっていたため、大縄の流れが止まってしまった。

 

おしゃべりしてないでちゃんと跳ぼうよ!

 

何が起こっているか分からないYくんが、縄を回しながら声をかける。

そこに、もう一本目の縄をもって出てきたMくんが現れる。

 

もう別れて跳ぼう。

できる人たちだけで跳びたい人は勝手にやればいいじゃん。

 

そんな感じで、半分以上のメンバーが抜ける。

残ったバスケットボールをもっている男子たちは相変わらず。

 

なんで勝手に抜けるんだよ!

これじゃあこっちが足りないよ!

 

騒がしい校庭。

Kくんの声は、抜けていったメンバーには届かない。

 

そうこうしているうちに、予鈴のチャイムが鳴った。

 

 

ここまで黒板に書きだされると、子どもたちは、もうすっかり納得している様子だった。

 

「次はどうする?どうしたい?」

 

そう聞くと、Kくんがにっとして答えました。

 

まぁ、間違いなく縄は2本必要ですね。

あと、言葉が全然足りてねぇ!

 

クラスにどっと笑いが起こります。

 

「先生はね、大縄ごときで本気で怒っちゃえる人がいる、真剣さがうれしいよ。

 傷ついた友達を放っておかなかった優しさがうれしい。

 苦手でも、最後まで跳び続けた人たちのがんばりがうれしい!」

 

失敗は成功の素。

真剣だからぶつかり合う。

 

彼らが巻き起こす一つひとつの事件に、まっさらな気持ちで一つひとつ向き合っていくことが大切です。

 

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