思春期の子どもたちと向き合う~イライラしたっていいんだよ~
小学校5年生の彼らのほとんどは、現在絶賛思春期中。
モヤモヤする。
イライラする。
自分って何だろう?
生きるって何だろう?
漠然とした大きな不安みたいなものと向き合いながら生きています。
だから、毎日本当にいろんなことが起こる。
休み時間にバスケをしていて蹴り合いのけんかになった、KくんとHくん。
どうしてそうなったのか、聞いてみると…
ボールを取ろうとしてHくんがKくんにぶつかってしまった。
そしたらKくんがキレて、Hくんを蹴った。
だから、Hくんも蹴り返した。
どの角度から聞いても、出てくる情報はこれだけ。
「何か他に、イラっとしたことがあったんじゃないの?」
「何もありません。」
「朝の時間は?学校に来る途中とか…。もっと前でもいいんだよ?」
「・・・」
考えるKくん。
「わからない…。本当に何もないです。」
ここで声のトーンを変える。
「あなたは、何もないのに、そのくらいのことで友達を蹴る人じゃない。」
うつむくKくん。
「そのくらいのことで人を蹴っちゃいけない。」
ピリっとした空気が走る。
Kくんの目に涙があふれる。
「ごめんなさい…。」
いつもと違うKくんの様子に、Hくんも心配そうにKくんを見つめる。
「ぼくも、蹴り返してごめん。」
ふるふるとKくんが首を振った。
Kくんの頭にぽんっと手を置いて問いかけてみた。
「何かよくわからないけど、モヤモヤする?」
Kくんがこくんとうなずいた。
「何かよくわからないけど、イライラするんだね。」
泣きながら深くうなずくKくん。
「そっか…。それがわかって、よかった。」
心配そうに見守っていたクラスから、声が上がる。
「Kくん、大丈夫だよ。ぼくもあるよー!」
「私も!あるある!」
Kくんの表情が少し、やわらいだ。
みんなはね、思春期っていう大事な時期にいるんだよ。
見える世界が広がって、不安になったり、
本当はこうしたい、こうなりたいって思うのに、うまくいかなくて、イライラしたり…
だからこそ、心も身体もぐーーーんと成長する、大切な時期。
昨日はすっごく元気だったのに、今日はなんだか力が出ない。
さっきまでは全然平気だったのに、今はなんだかイライラしちゃう。
そんなときあるんじゃないかな?
うん、うん。
うなずく子どもたち。
元気がないとき、あっていいんだよ。
イライラしちゃって大丈夫。
そんな自分としっかり向き合ってあげて。
ぐんぐん成長している証拠だから。
そんなとき、周りにいるみんなができることは何だろうね?
元気な人が、元気を分けてあげる!
「大丈夫だよー!」って声をかけ合う!
その人のすてきなところを伝えてあげる!
休み時間、Kくんの周りに集まって、何やら始めた子どもたち。
「Kくんは、算数が得意だよね!」
「バスケもうまいよ!」
「優しいしね。」
「この間、Kくんに筆箱ひろってもらったよ。」
Kくんは顔を真っ赤にして、
「もういいよ~。大丈夫だから~。」
と笑っていました。
思春期は、まるごとそのまま受け止める。
もがきながら進む彼らを、全力で応援してあげましょう^^