学級崩壊の恐ろしさ、知ってますか?~Fくんが私に教えてくれたこと~
昨日 自分の過去と向き合う機会があって
久々に思い出しました
教員になって1年目に出会った Fくんのこと
当時 Fくんは小学4年生
私は臨時採用の身(教員採用試験に受かってない)
算数の時間だけ 担任の先生の補助に入る役割だった
始めは算数の時間だけ関わっていたFくんのクラスは
6月の時点で半崩壊状態になり
10月頃には完全に崩壊学級になった
4月のころ 大人しくて可愛かったFくんは
そのクラスの中で 豹変していった
6月の途中から私の役割が変わった
算数補助ではなくて、「Fくんを抑える」担当になった
私自身 先生になる気なんかなかった
「先生体験を1年できれば楽しいかなー」くらいの軽い気持ちで
この世界に飛び込んでしまった私にとって
Fくんとの出会いは ものすごく重いものだった
「役立たず」
私はFくんにそう呼ばれていた
うっすら笑みを浮かべて私を笑うFくんの瞳は
いつも くすんで曇っているように見えた
私は 正直Fくんが怖かった
Fくんから殴られた傷跡が あちこちに増えていったし
あの瞳で にらまれるのも嫌だった
どんどん Fくんに関わるのが苦痛になっていった
Fくんの愚痴を担任の先生から聞くこともうんざりだった
「早く終われ」
そう思った
「早くこの1年が終われば辞められる」
そう思った
でも…
授業中 教室を飛び出すFくんを追いかけて 廊下で2人で話してみると
ときおり Fくんが無邪気に笑ってくれることがあった
その度に 涙が出るほどうれしかったのを覚えている
今思えば…
あのときのFくんは 全身でSOSを出してくれていたんだと思う
あの頃の私に
それを受け止める知識も、スキルも、器も、気概もなかった
ある日
Fくんのクラスに入ると
Fくんが画鋲を教室中にばらまいていた
私はそれを 黙って拾い集めた
「役立たずが来たぞー!」
Fくんがそう叫んで笑う
私はFくんをにらんだ
「何だよ。何か言ってみろよ」
このFくんの挑発から
私は逃げた
Fくんが怖かったし
Fくんを怒らせて担任の先生からグチグチ言われるのも面倒だった
自分を守るために 彼に媚びた
彼を面倒だと思って 彼に屈した
「座ってじっとしてればいいから...」
諭すように 取り繕うような笑顔で
Fくんに こんなようなことを言った気がする
瞬間…
彼の瞳が 怒りに変わった
思いは伝わる
…伝わってしまう
Fくんは、素早く引き出しからコンパスを取り出し
コンパスの針を 私の額に突き付けた
「殺すぞ。役立たずは出ていけ」
そのあとのことは よく覚えていない
コンパスを必死で取り上げ
そのコンパスを持ったまま
職員の女子トイレで泣いていた
情けなくて
悔しくて
なんで私がこんな目に合わなきゃいけないのかと
なんで ガキに役立たずなんて言われながら怯えなければならないのかと…
そんなこと…
すっかり忘れていたのですが
久々に思い出しました
あのときの悔しさがあったから
私は死に物狂いでクラス経営について学んだ
子どもの心のしくみについて学んだ
絶対にいけないと思うことは
「いけない!」
と精魂込めて向き合えるようになった
Fくんに 言いたいことがある
「力になれなくて ごめん」
「差し出された手を 握り返せなくて ごめん」
「助けを求めてくれて ありがとう」
私は あなたみたいな子を放っておかない大人になる