教員の質は低下している?~新任の先生が辿る道は…~
ちょっとやりきれなくなったので、小学校教員の現状を少しお話しさせてください。
教員採用試験の倍率は年々下がり、小学校においては全国的に3倍を下回ろうとしています。
教員の質は悪くなっていると言わざるを得ません。
それなのに。
先生になると、すぐに担任をもたされます。
授業がうまくいかない
学級経営がうまくいかない
↓
子どもの離席が始まる
ケンカが増える
↓
クラスが荒れる
↓
保護者からの苦情対応が増える
仕事に追われる
これが、多くの新任教員が辿るルートです。
この中で生き残れるのは、
わりと器用でなんとかできた教員。
学びながらがんばって力をつけた教員。
もしくは、
鈍感でメンタルがタフな教員。
うまくいかないことはすべて誰かのせいにして乗りきった教員。
この2つに大別されるように思います。
そして…
倍率の低下とともに、前者が年々少なくなっているように感じるのは、私だけでしょうか?
私の所属する地方自治体で、新任教師のための研修システムと言えば、以下の2つだけ。
・月に1回ほど教育委員会が開く研修に半日出向き、心構えみたいなことを聞く。
・週に1日、指導教員が教室に入り、指導をする。
(指導教員の大半が定年で退職した再任用の教員。正直、きちんと指導してくれる方は少ないように感じます。)
昔は先生と言えば尊敬されるものであり、何かあれば先生の言うことをしっかり聞くように親御さんが背中を押してくれるものでした。
今は違います。
先生の一般的な学歴よりも高い学歴を持つ親が多く、学校は、"勉強を教えてくれるありがたいところ"ではなくなりました。
先生というものに対して、もともとマイナスのイメージを持つ親も多く、毎日たくさんの苦情の電話が学校にはかかってきます。
もちろん、真摯に受け止めるべきものもたくさんあります。
でも…やりきれないような苦情も増えています。
子どもが先生を悪く言ったことを親が鵜呑みにし、親同士の LINE グループで話に尾ひれがついて噂が流れ…
こちらに伝わってくるときには、理解できないようなとんでもないものになっているものも多いのです。
そもそも…
先生に求められる資質とは何でしょうか。
担任が果たす役割は、講師であり、マネージャーであり、リーダーであり、コーチであり、カウンセラーです。
分かりやすく授業内容を伝えるプレゼン力
保護者や子どもとうまく信頼関係を築くためのコミュニケーション力
クラスをより良い方向に導いていくマネジメント力
子ども一人ひとりの心に寄り添うコーチング、カウンセリング力
約35通りの子ども達を惹きつける人間力
それぞれの教科における専門的知識
子どもの発達や発達障害についての専門知識
必要な資質を挙げればきりがありません。
加えて、世界や社会の状況をアンテナを高く捉え、俯瞰した上で、子どもたちに伝えていく必要もあると思います。
教員自身が日々学ばなければとてもつとまらない職種なのに、学ぶ教員は極めて少ないのが現状です。
日々の仕事に追われ、疲弊していることも一因ですが…
本を読まない、他業種と関わらない教員のなんと多いことか。
子ども達はとても素直です。
信頼できないと思う大人にはついていきません。
自分のことをわかってくれないと思えば反発します。
授業が分かりづらければ聞かなくなるし、勉強に対するやる気もどんどんなくなっていってしまいます。
小学校の場合、教室で起こっていることを一緒に見ていてくれる大人はいません。
子どもたちが帰るまでの間は、一人で対処しなければいけない。
いろんなことがうまくいかなくて、忙しさに追われる若い先生方に、子どもからも保護者からも、するどく攻撃する矢が容赦なく飛んできて突き刺さるのです。
真面目でがんばり屋さんの先生ほど、押し潰されてしまいます。
4月。
キラキラ目を輝かせながら、子どもが大好きだと言っていた新卒の先生。
心の病気でしばらくお休みすると、今日知らされました。
クラスは半崩壊状態にあるそうです。
能力不足でしょうか?
心が弱いのでしょうか?
教育は国の大切な部分を担う機関なはずなのに…
どうして何も教えずに担任を背負わせるのでしょう?
どうしてサポートできるしくみがないのでしょう?
どうして先生が学ぶようになるしくみがないのでしょう?
もやもやします。
でも、書いたらスッキリしました。
私は私のできることをする。
学ぶ。可能性を探る。
寄り添う。発信する。
前に進む!!